6.自己顕示欲の塊
大学で仲のいい女の子が出来た。ショートカットで黒髪、嫌味もなく僕の理想の女性像にかなり近い女の子だ。もちろん可愛い。
この間、その子と授業の空きコマの時間を過ごしていた時のこと、Instagramの話になった。僕は恥ずかしい話、本名でInstagramのアカウントを持ち、何気ない日常の風景、作った料理を投稿している。しかし、その女の子はアカウント自体そもそも持っていないと言うのだ。
何故かと理由を聞いてみると
「なんのために写真を投稿して他の人に自分の生活を見せる分からない」
らしい。確かに…言われてみればそうだ。
Instagramに写真を投稿しても報酬は得れないし、何か優待されるものがある訳でもない。得られるものなんていくらかの「いいね」と「コメント」くらいだ。
僕は帰り道に考えた。
僕はなんのために人へ私生活を晒しているのだろう…?どんな写真を投稿してたっけ…?
僕が投稿した写真を見たら大体が自分の作った料理、すごい場所に行った投稿だった。多分それを僕は「自慢」したいのだろう。そして周りからの「賞賛」を得たい。
僕はこの世にいる人間という生き物は自己顕示欲の塊だと思っている。誰もが心の奥底に「目立ちたい」、「自慢したい」という気持ちを少なからずは持っているはずである。
そんな人間にとって、Twitter、InstagramなどのSNSは自己顕示欲を満たす素晴らしいツールだ。
目立ちたくない人間なんてこの世にはいない。例えば現実世界では目立とうとしなくてもバーチャルなウェブ上の世界、2次元の世界では目立とうとしているはず。
服を着飾るのも、おしゃれなカフェに行くのも全部自己顕示欲を満たすため。
そんなことを思って僕は「カフェなう」とあえて向かいに座る女の子が写るように撮った写真をInstagramに投稿した。